八海山の山開きと越後三山縦走

 去る6月26日、新潟県南魚沼市の八海神社・城内口里宮にて、八海山火渡大祭・八海山山開きが行われました。

よい機会でしたので、お祭りに参加して、そのまま越後三山を縦走してきました。

 

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境内では、お守りや、家内安全云々のお札のついた赤飯やお弁当を売っており、お酒のふるまいもしていました。

お神酒はもちろん「八海山」!

本殿では、お山開き祭りの祝詞をあげていて、たくさんの方がお参りされていました。

 

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「福笹」が無料で配られていました。

玄関などに飾るそうです。

 

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本殿での行事のあと、火渡り神事に移ります。

広場の中央に杉の葉が山盛りにされています。

 

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昼食を用意していなかったので、五目赤飯をいただきました。

モチモチのもち米がとてもおいしかったのですが、後からアズキが入っていなかったことを思い出して、すこし口寂しい気持ちになりました。

 

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ほら貝の鳴り響く中、粛々と火が点けられていきます。

 

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火が杉の葉に移っていきます。

 

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煙がもうもうと上がります。

 

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行者さんが護摩木を投げ入れています。

燃え進むと煙は少なくなり、かわりに火が大きくなっていきます。

見ているだけでも熱かったので、行者の方々は大変だったろうと思います。

 

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しばらくすると火の勢いは収まり、行者さんが火渡りを行ったあと、一般の方々があとに続きます。

 

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登山の安全を祈願して、私も渡らせていただきました。

足元の火はほとんど消えているのですが、両脇には火がくすぶっていて、かなりの熱さを感じました。

 

 

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神社をあとにして、登山口へ向かいます。

棚田に空が映ってきれいです。

 

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今回、八海山には屏風道から登ります。

屏風道は傾斜が急なため、登り専用となっており、いたるところに鎖が設置されています。

屏風道の入口にはカゴがあり、川の増水時にはこれを使って行き来するようです。

 

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四合目付近には、まだ食べられそうなワラビが生えていました。

 

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この日は曇りで、午後から雨の予報だったのですが、一瞬雲が切れ、南魚沼市街が見えました。

前回歩いたときには田んぼが水鏡のようになっていましたが、もうずいぶん稲が育って、一面が緑で埋め尽くされています。

 

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八海山の岩峰群が近づいてきました。

何度見ても迫力があります。

 

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千本檜小屋に着く頃には雨が降ってきました。

あたりは真っ白で、展望はまったくありません。

もともとはツェルト泊の予定でしたが、避難小屋が開放されていたので使わせていただきました。

二階建ての立派な小屋です。

 

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夕食は人参、玉葱と高野豆腐の煮物です。

米を多めに炊いて、明日のためのおにぎりを作りました。

小屋はきれいに使われていたのですが、この夜、小屋の中でカサカサと虫の歩く音が聴こえてよく眠れませんでした。

 

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翌朝4:30、相変わらずの天気ですが出発します。

ガスが濃く、すぐ近くにあるはずの八ッ峰も見えません。

 

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前回、八ッ峰を歩いたので、今回は迂回路を使いましたが、こちらもかなりの傾斜があり、注意が必要です。

時折、雲の切れ目から岩峰群が覗きます。

 

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八海山最高峰、入道岳です。

ここから八ッ峰が見えたらカッコイイんでしょうけど、何にも見えないですね。

 

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さらに進んで、五竜岳直下から中ノ岳方面を望みます。

北アや南八ッのようにダイナミックな山容ですが、越後三山は標高が低い上、このあたりは豪雪地帯ですから、水が豊富で植物がよく育つのでしょう。

稜線までびっしりと草木が生えています。

ここから最低鞍部の「オカメノゾキ」まで500m下り、中ノ岳まで800m登り返します。

 

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7時頃から晴れ間が出てきましたが、合わせるようにブユが大量に沸いてきて、あちこち刺されてしまいました。

虫除けを持ってくるべきでしたね。

 

このオカメノゾキルートは、昭文社の「山と高原地図」では破線(難路)になっているのですが、単純に高低差があるというだけでなく、細かいアップダウンのそれぞれが急傾斜や鎖場になっており、濡れていると大変に滑ります。

稜線に植物が生えているので、遠目にはマイルドに見えますが、ノーマルルートとしてはなかなかの難度だと思います。

 

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途中、トレラン風の格好をしたお兄さんに抜かれました。

一日で越後三山をまわって下山するそうです。すごい。

 

越後三山の一日縦走は、日の出前から登り始めて、日の入り後に終了という感じでしょうから、ちょうどギリギリ(?)行けるかどうか、というイメージです。

やるなら、夏至前後の今の時期がベストでしょうね。

途中で泊まると荷物が増えてペースも落ちますから、どちらがよいのか、どちらにしてもけっこうキツイですね。

岩場もあって全身使いますから、毎週やったらムキムキになりそうです。

 

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オカメノゾキを越えて、御月山(おつきやま)へ向かいます。

ここの登りが最後の難関、一見どう上がるのかわかりませんが、正面の鎖場から直登します。

 

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御月山山頂からの八海山。ピークの右に八ッ峰が見えています。

この山の名前は今回はじめて知りましたが、縦走中、最高の眺めです。

 

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御月山山頂から越後駒ヶ岳

うんうん、いいですね。

 

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そして、御月山山頂からの中ノ岳。

三方に越後三山がビシッと見えて、本当にいい。

次に来たときは、パノラマ写真を撮りたいですね。

 

御月山から少し進むと、雪渓の水場(祓川)があります。

日が出ると暑くて、水をどんどん消費します。

 

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御月山から先は快適な一般道になりますが、一部雪渓が残っていました。

アイゼンを持っていなかったので少し苦戦しました。

すれ違った、別のトレラン風の人(この方も一日縦走!)は、中ノ岳から祓川沿いに下ってきたそうで、もしかしたらそのほうが正解だったかもしれません。

 

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中ノ岳避難小屋に到着です。左奥が山頂。

それにしても、越後三山は避難小屋がみんな立派で、中もきれいです。

せいぜい岩小屋みたいなものかと思っていたので、いいほうに裏切られました。

 

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小屋にザックを置いて、空身で往復しました。

いい天気です。

 

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当初、中ノ岳で泊まる予定を立てていたのですが、この時点でまだ13時でしたので、越後駒ヶ岳まで行くことにしました。

 

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一般道だから楽勝かと思っていましたが、藪がすごい。

足元が見えない上、右側が切れ落ちているので注意して進みます。

 

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途中、右手に集落が見えましたが、山奥すぎて心配になるほどです。

周りずーーっと何もないじゃん。

あとから調べましたら、銀山平という温泉地のようです。

 

銀山平 - Wikipedia

 

この位置からは見えませんが、奥只見湖のほとりにあるようです。

 

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天狗平から、最後の登りです。

このあたりは植物の背が低くて歩きやすかったです。

 

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ついに山頂が近づいてきました。

右肩には駒ノ小屋が小さく見えています。

 

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越後駒ヶ岳山頂です。

越後三山(魚沼三山)の中で、この山だけが日本百名山に選ばれています。

八海山に登ったときには、ここも百名山でも良いのではと思っていたのですが、三つのなかでどれを盟主にするかといえば、この山なのかもしれません。

なぜかと聞かれても、こまります。

 

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続いて、駒ノ小屋へ下ります。

雪渓にはステップが切ってありました。

 

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駒ノ小屋は、山頂から15分ほど下ったところにあって、なんで山頂から離したのかと思っていましたが、雪渓に沿って建てたんですね。

おかげで豊富に水が使えます。

※雪渓の消える時期には、水が涸れることもあるようです。

 

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今日の夕食は、ニンニク入りの味噌煮です。

つかれて食欲がわかず、米は炊きませんでした。

 

夜半から、また強い雨が降ってきました。

 

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翌朝になっても、雨が降り続いています。

きのう頑張って駒ヶ岳まで歩いたので、この日は下山のみとなります。

グシガハナを経て、十二平へ下ります。

 

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6時間ほど歩いて、十二平に到着です。

雨で景色が見えず、靴もぐしょぐしょだし、三日目でお疲れということもあって、途中ほとんど写真は撮れませんでした。

いけませんねー。

 

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三日ぶりのコンクリートロードです。歩きやすい!

いつの間にか雨も上がりました。

 

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野生動物観察中の方がいました。楽しそう。

立派な堰堤がいくつもあります。

 

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南魚沼市荒山集落、十二神社から駒ヶ岳方面。

日常がこの風景というのは、すごいことです。

 

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魚沼産コシヒカリ!でしょうか。

山からの雪解け水が、集落を潤しています。

こりゃあ、うまい米ができるわけです。

 

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荒金入口からバスに乗って、帰路に着きます。

三日間おつかれさまでした。

 

ところで、バス停の名前って電車の駅名とは雰囲気が少し違いますよね。

より細かいというか、土地がにじみ出てくる感じがします。

「君帰り」なんて、なんだろうと思って調べたら、Wikipediaに載っていました。

 

君帰 - Wikipedia

 

他にも、魚沼地方には、一日市(ひといち)、二日町、四日町、五日町、六日町、七日市、九日町、十日町といった、市(いち)の立った日がそのまま地名になったところがたくさんあるのですが、ふと「四十日(しとか)」なんていうバス停(集落)があって、これも由来が気になっているところです。

 

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今回、越後三山を歩いたことで、魚沼地方の風土を感じられたように思います。

豊かな水に支えられた、鬱蒼としながらも決して暗くない森、豪雪によって鋭く削られた山肌、粘り強い自然の雰囲気は、集落に住む人々にもつながるのかなあと勝手に考えています。

都会では、山と街が切り離されている感じがありますが、ここでは山や自然がそのまま生活につながって、収入源にもなっている。

これは本来当たり前のことなのかもしれませんが、私には新鮮でした。

 

また、気が向いたら歩いてみたいと思います。